茨城交通を訪ねる
今日、4月29日は昭和の日。昨年までは、みどりの日と言っていた4月29日は、昭和天皇の誕生日である。そのせいか、今年から昭和の日と言う名前の祝日に変わった。
そんな昭和の日に相応しいところに出かけてみようと思って考えていたところ、茨城県のローカル私鉄である茨城交通で、このゴールデンウィーク期間中、国鉄カラーにリメークした旧型気動車が特別運転されていると言う情報を入手した。よし、ここへ行こう。都心で用を済ませた後、上野駅から常磐線の「フレッシュひたち」に乗り込み、一路、勝田へと向かった。
勝田駅で茨城交通に乗り込む。1日乗車券を購入すると、発車時間を過ぎていたのだが、運転士が私を待っていてくれた。私は運転士に向かって右手を上げて後部のドアから乗り込んだ。とりあえず3駅目である中根駅に降り立った。この駅は、田んぼの中の小さな駅と言った感じで、辺りは何も無い。それだけに、どの場所に立っても撮影ポイントとなる。私は、踏切横の路地を入ったところから、国鉄色の気動車の到着を待った。10分ほど待つと、前方より、国鉄標準色のキハ20がゆっくりとやって来た。
のどかな風景の中を走る、国鉄標準色のキハ20。
中根駅に停車中のキハ20
茨城交通のキハ20の国鉄標準色は、塗装の状態が程よく汚れており、逆に自然な感じに見えた。
続いて、勝田から折り返してくる阿字ヶ浦行きを、中根駅の勝田方から撮影する事にした。この向きは逆光なのだが、側面には陽が当たるので我慢した。
再びやって来たキハ20。一路、阿字ヶ浦を目指す。
撮影後、画像をチェック。最初に撮ったものも含めて、どれも、のどかな風景の中を走る国鉄標準色の気動車。まさに昭和の時代には全国的に見られた光景だ。これぞ、鉄ちゃん流、昭和の日の正しい過ごし方である。
この後、茨城交通の主力車両であるキハ3710に乗って、那珂湊へと向かうのだが、次の下り列車まで40分近くある。まず先に、キハ3710による勝田行きがやって来るので撮影。
茨城交通の主力車両、キハ3710型。
1枚目のキハ20を撮った場所と同じところでの撮影。新型気動車は興味なしと言う国鉄形ファンの方もいるかもしれないが、茨城交通も、廃止と言う話が浮上している事から、この車両もしっかり撮っておきたいところだ。
列車が出た直後の中根駅。何も無いのどかな駅である。
勝田行きの撮影からおよそ30分後。ようやくキハ3710形による阿字ヶ浦行きがやって来た。早速乗車し、一駅隣の那珂湊駅へと向かう。この駅は、構内に機関区もあり、茨城交通の運行上の拠点となっている。主力車両のキハ3710形も、那珂湊の「みなと」から来た形式である。ここで、1本列車を落とし、駅周辺を1週して貴重な車両たちを撮影してみた。
売却先を募集中のケキ102は、貨車を連結した状態で展示中?
ステンレス製気動車、ケハ601の車体は倉庫として残っている。
ケハ601は、我が国初のステンレス製気動車として登場。かつては常磐線へ乗り入れ水戸までは入線していたようだ。1992年に惜しまれながらも引退。現在では、車体が倉庫として残っている。出来れば現役時代に撮っておきたかった。
鹿島臨海鉄道大洗鹿島線からやって来たキハ20も、現在では使用していない。
準急色のキハ2004は検修ピット内にいた。
旧国鉄色のキハ222。
那珂湊にいた国鉄色車両は、いずれも羽幌炭礦鉄道や留萌鉄道と言った、北海道で廃線となった私鉄に在籍していた、キハ22の同型車両である。厳密に言えば、国鉄車両ではないのだが、国鉄の車両と同型だけに、全く違和感は無い。本日、運転していたキハ20 5と、キハ222、キハ2004は、5月3~5日に併結運転が予定されており、国鉄色の3両編成が見られることになっている。
一通り撮影を終えて、再び下り列車に乗車。先に進む。ここからは、いよいよキハ20に乗車する。車内は、ワンマン運転に対応した改造がされてはいるものの、基本的には国鉄時代の姿に近い。途中からボックス席が占領できたので座ってみる。子供の頃、八高線で乗車した記憶が蘇った。キハ30が主体の八高線では、キハ20は少数派だったのだが、一度だけ乗車した事がある。あのボックス席は、独特なムードで、温かみが感じられた。懐かしさに浸っていると、あっという間に阿字ヶ浦に到着した。
阿字ヶ浦には、羽幌炭礦鉄道から来たキハ22他が長い間留置されたまま。
阿字ヶ浦の留置車両は、2年前に来たときもあった。あの頃ですら、かなり荒れた状態だったのだが、あれから2年。さらに荒れ果てており、このまま朽ち果てていくのを待つだけなのだろうか。
阿字ヶ浦駅に停車中の勝田行き。折り返しまでの間、つかの間の休息を取る。
キハ20の車内。昭和の時代の香りが漂っている感じ。
阿字ヶ浦で一通り撮影した後、再びキハ20に乗り込み、勝田まで乗りとおした。帰りもボックスシートに座ることが出来、キハ20の乗り心地を思い切り堪能した。のどかな風景をノンビリと走るキハ20は、まさに昭和40~50年代にタイムスリップしたような感じだった。最後に勝田で1日乗車券を改札の茨城交通社員に見せると、なぜか「ご苦労様」と言われてしまった。何に対してご苦労様だったのだろうか。
この後、私は勝田駅構内と水戸駅構内で撮影した後、水戸から特急列車で東京へと戻った。東京から1時間少々で来れる昭和の香り漂うローカル私鉄。国鉄形車両の特別運転は定期的に行われているそうだから、また今度、違うカラーの車両が走っているときに、訪れてみようと思う。
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コメント
こんばんは。いいですねぇ>キハ20。3月末で鹿島鉄道が廃止になり、徐々に数少なくなっている茨城県内のローカル私鉄ですが、当面は廃止を逃れそうな状況だそうで、しばらくはこうした味な車両たちも安泰といえそうですね。
阿字ヶ浦に留置中のキハ22ですが、10年ほど前に現役で走ってた頃に一度乗りました。そのときはキハ11とペアで走ってたんですが、国鉄時代は当たり前のように走ってた車両も自分くらいの世代には貴重な存在ですね。
投稿: mattoh | 2007/04/30 22:32
はじめまして、こんばんは
私も今日まで3日間ひたちなかにいました。
2月に茨城交通に乗ってきましたが、いつまでも走ってもらいたいものですね。
投稿: まんぼうのすけ | 2007/04/30 23:09
mattohさん、まんぼうのすけさん、コメント有難うございます。
mattohさん>
良いですよね。キハ20。茨城交通の景色にピッタリです。かつては、こんなシーン、全国各地で見られたんでしょうけどね。このような貴重な車両たちが、いつまでも元気に走れるように、我々鉄道ファンも茨城交通が生き残れるように、何らかの形で協力できれば良いですね。
まんぼうのすけさん>
ひたちなかに行ってらしたんですか。海も近く、のどかな所ですよね。そんな場所を茨城交通の車両がコトコトと走る姿は、実に良いものですよね。
投稿: TOMO | 2007/05/01 23:30