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三岐鉄道三岐線 最後の吊り掛け式電車607F引退、そして751Fデビュー

昨年の年末に慌ただしく訪問した三岐鉄道三岐線。同線に残る最後の吊り掛け式電車、607F(元西武571系)の撮影が目的だったが、この時は、営業運転には就かず、保々車両区に留置されたままだった。仕方なく留置中の姿を撮影し、同編成に別れを告げた。

しかし、西武沿線で育った私にとって、やはり607Fの走行シーンは撮っておきたかった。でも、もう撮る事は出来ないだろうと思いながら、1月も月末に差し掛かる。そんな中、1月31日と2月1日の土日に、定期列車充当と言う形で607Fのさよなら運転を実施する事を知った。一度はあきらめかけていた私にとって、この情報は有難かった。早速スケジュールを調整する。本来であれば、2月1日に行くと、保々車両区の撮影会もあって好都合なのだが、生憎この日は外せない用が幾つかあった。そこで、1月31日に日帰りで三岐鉄道の撮影に行く事にした。

前夜からの雨が止まないまま、1月31日の朝を迎える。6時に家を出発し、萩山駅から西武多摩湖線・JR中央線経由で東京駅へ。東京駅から7時20分発の「のぞみ105号」に乗り込み、名古屋を目指す。強い雨が止まないままの出発で、これから先の行程に不安を感じていたが、早朝出発のせいか眠くなり、熱海手前から眠りにつく。そして、浜松付近で目が覚めると、雲ひとつない快晴。浜名湖がとても美しく見えた。どうやらお天気は回復に向かっている。名古屋で降りた時も、雨は降っていなかった。ここから近鉄の急行で近鉄富田へ。1日乗り放題切符を購入して、待ち構えていた西藤原行きに乗り込んで保々へと向かった。

自宅を出ておよそ4時間。保々駅に到着したのは、10時27分の事であった。薄日もさしているのだが、それ以前に、ものすごく強い風が吹いており、撮影条件は決して良くない。埃対策を考慮し、駅の待合室でレンズを交換して撮影地へと向かう。今回は、mattohさんで取り上げていた、保々~北勢中央公園口間のポイントで撮影することにした。駅からおよそ5分ほで撮影地に到着する。607F狙いの方が、既にお1人いらっしゃった。私は、まず三脚にコンデジをセットする。今回はこれで動画にも挑戦してみた。そして、40Dを手持ちで撮影する。下り普通列車1本でリハーサルをした後、607Fによる近鉄富田行きがやって来た。

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三岐鉄道三岐線最後の吊り掛け式電車、607F(元西武571系)がついに引退。1月31日に日帰りでさよなら運転を撮影して来た。

吊り掛け車と言う事で、モーター音もある程度は期待して、動画撮影もしてみたのだが、考えてみれば蛇行運転の区間。更に強風と言うこともあり、音はあまり録れなかった。

最初の撮影を終えると、今度は607Fに乗車する。保々駅へと戻り、近鉄富田からやって来る西藤原行きを待つ事に。駅に隣接した保々車両区内には、607Fの代替に投入された新型の751F(元西武新101系)が停まっている。しかも、下りホームのすぐ隣の線と言う事で、607Fが保々駅に入線する際、一瞬ではあるが751Fとの並びが撮影できる。そこで、まずは乗車前に、751Fとの並びを狙ってみた。

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保々駅進入時に、751系と一瞬だけ並ぶ607F。

到着した607Fは、この保々駅で、上りの近鉄富田行きと交換をする。乗り込む前に、上り列車との並びも撮影してみた。

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101系による近鉄富田行きと並ぶ607F。

元西武401系を改造した101系電車。この607Fと基本的にデザインは似ているのだが、101系の方は、西武時代に冷房改造・カルダン化を実施しており、この点が607Fと異なる。

撮影後、いよいよ乗車となる。車内に入ると、鉄道ファンの姿が目立っていた。私は、クモハ607の車内に空席を見つけ腰を下ろした。車内は、座席のモケットの色に西武時代とは違いを感じるが、それ以外は西武時代の面影を色濃く残しており、20年前の西武の支線で乗った571系の記憶が蘇って来た。

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車内で見つけた西武所沢車両工場のプレート。

吊り掛けモーター音を楽しんでいる間に、終点の西藤原に到着する。ここでは、折り返しに備えて5分ほどの停車時間があった。停車時間を利用し、何枚か撮影してみる事に。

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西藤原駅に到着した607F。

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クハ1608の運転台。

旧西武571系電車は、旧401系の新性能化に伴い、吊り掛け車の2連が不足し、それを補うために中間車を先頭車に改造し、2連単位で運転できるようにした形式である。その為、改造当初から、401系に準じた改造が施されており、使用している部品の一部には、赤電より冷房改造を受けた黄色い車両と似た部分もあった。その事が、少年時代の私にとって、「特別な赤電」と言う意識を強くさせていた。

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クハ1608の車内。

5分間の停車時間はあっという間に過ぎ、再び近鉄富田を目指して西藤原駅を出発する。車内を見ると、折り返し近鉄富田行きの乗客も半数以上が鉄ちゃんのようだ。私は再び吊り掛けモーター音を楽しみながら、西武時代の旧571系との思い出を頭に思い描いていた。

この後、再び保々駅で下車。そして、いよいよこの日最後の607Fの営業列車の撮影に入る。保々駅で下車して、駅前の道を近鉄富田方向へと進む。駅から20分ほど歩いた直線区間を行く607Fを狙う事にした。上り貨物列車を撮影した後、この日最後の607F充当列車がゆっくりとやって来た。

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山城~保々間の直線区間を行く607F。

この場所、午後の撮影だと側面には日が当たらない。お天気も曇って来た事から、この場所で撮影してみた。

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後追い。ゴールの保々駅まであと少し。

この場所での撮影を終えて、私は保々車両区へ向けて歩き出す。15分ほど後に車両区に到着すると、607Fは入庫しており、検修庫の中へと入って行った。

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ねぐらへ戻って来た607F。

暫くこの状態で観察する。まず、職員たちがヘッドマークを外し始めた。翌日もさよなら運転を実施するにも関わらず、ヘッドマークは外された。盗難防止の意味もあるのだろうか?

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ヘッドマークを外し、翌日のさよなら運転に備える607F。

さて、ここまで撮影して来たところで、構内に751Fがいない事に気づく。どうやら607Fの入庫に合わせて出庫してしまった模様。そうなると、751Fの営業運転も撮影しておきたい。私は、午前中、607Fを撮影した、保々~北勢中央公園口間へと移動する。およそ20分ほど待つと、新型の751Fによる近鉄富田行きがやって来た。

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607Fと車両交換をする形で営業運転に入った751F。

751系の行き先表示は、LEDだと聞き、シャッター速度を125分の1に設定して撮影に臨んだのだが、この車両のLEDは、大変写りにくく、ご覧いただいている画像でも、何を表示しているのか良くわからない。更に種別膜に関しても、「ワンマン」と「サイクルパス」の2つを表示していることから、こちらも瞬間的には読み難いと言うことで、何とも撮影者泣かせの車両である。ちなみに、751Fは、この日が初運用ではなく、それ以前より運用に入っていたようである。帰りに途中駅ですれ違ったので、車内を眺めてみたが、西武時代とそれほど変わったようには見えなかった。

この撮影を以て、この日の三岐鉄道の撮影は終了とし、保々駅へ。その前に、もう一度607Fの許へ向かった。入庫直後は、多くのファンが駆けつけていた車両区前の通りも、もう人通りはほとんどなく、検修庫内では607Fが静かに休んでいた。これが最後の別れとなる。お疲れ様。607Fにそっと声をかけて、保々駅へと戻り、801系による近鉄富田行きに乗り込んで、三岐鉄道沿線を後にした。

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コメント

TOMOさんこんにちは。三岐線の吊り掛け電車がなくなるんですね?一瞬、北勢線も走らなくなるのかとおもってしまいました。失礼。三岐線も世代交代が進んでいるんですね。私が父と行ったときからもう7年たちますがこんな変化が起きているとは思いませんでした。この路線には貨物列車がまだ走っていますし、貨物時刻表片手に撮影してみたいものです。

投稿: オグリキャップ | 2009/02/03 14:50

こんにちわ。
自分は2/1に訪問しましたがこの日も晴天ではあるもののやはり強風にずっと悩まされっぱなしでした(>_<)
それでも沿線には撮影者の姿を多く見かけたのでやはり注目度が高かったという事なのでしょうね。
西武沿線住民にとって嬉しい限りです。
実は607Fに乗ったのは今回が初めてだったので予定の帳尻を合わせて出かけた甲斐がありました。
車両区での撮影会も含め職員の方々の尽力にただ頭が下がる思いです。
ただし751Fにはこの日の運用に就かず乗れなかったため次回の訪問時に堪能しようかと思います。

あと脱線話ですが名古屋の山ちゃんは自分も訪問時には単身よく利用しています。
都内と違い石を投げれば当たるほど至る所に店舗があるのが有難いです(笑。

投稿: 明之秀次(仮名) | 2009/02/03 17:02

オグリキャップさん、明之秀次(仮名)さん、コメントありがとうございます。

オグリキャップさん>
すみません。うっかり北勢線のことを忘れていました。あそこは近鉄ではなくて三岐鉄道でしたね。と言うことで、タイトルと本文の一部を変更いたしました。ご指摘ありがとうございました。ちなみに、この日は貨物時刻表を持参しておりまして、時刻表を見ながらしっかりと撮影しておりますので、近日中に記事にする予定です。お楽しみに。

明之秀次(仮名)さん>
2月1日に行かれましたか。お疲れ様でした。やはり、2日間ともに風に泣かされる結果になってしまったんですね。751Fに関しては、私も撮影はしたものの乗車はしていません。また、貨物鉄道博物館も行っていませんから、いずれ訪れてみたいと思っています。

投稿: TOMO | 2009/02/03 17:27

 こんばんは。一月近く経過したネタへのコメントで恐縮です。あの場所ですが、実は偶然見つけた場所でして、本当だったら山城側の方でずっと撮影したかったものの折から降り出した雪のため断念。ところが保々駅へ戻った途端に雪が止んだかと思ったら晴れてしまったため、後戻りするのも何かと思い、逆側で撮影した次第です。

 元々本来の目的が”鉄”ではなく、ついでに回ってきましたが、あと1週間遅ければイベントに立ち会うことが出来たんですよね。今回はちょっと残念でした。

投稿: mattoh | 2009/02/27 22:43

mattohさん、コメントありがとうございます。

今回の遠征では、前日に、そう言えばmattohさんのブログで三岐鉄道の撮影記があったなと言う事を思い出し、ご紹介されていた保々駅周辺のポイントを見て、ここは使えそうだと判断し、当日の撮影に使わせていただきました。mattohさんが行かれた日の天候に助けられる結果となりました。

さて、今回のイベントですが、かなり発表がギリギリだったようで、私もこの事を知ったのは、既に1週間を切った1月27日の事でした。もう少し早く発表してくれればと思った方は多かったかもしれません。

投稿: TOMO | 2009/03/02 00:12

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