まもなく見納め? 373系の「ムーンライトながら」
春は出会いと別れの季節。JRグループは、3月14日にダイヤ改正を行うため、ダイヤ改正を機に引退する列車・車両たちにとっては、今が「別れの春」となっている。
東京から岐阜県の大垣までを結ぶ夜行快速列車「ムーンライトながら」。青春18きっぷ愛好家の皆さんは、一度は乗った事があるであろう、東海道本線の名物夜行列車である。私も、これまでに何度か乗車した経験がある。この「ムーンライトながら」が、このダイヤ改正を機に、季節列車扱いに格下げされる。季節列車となる「ムーンライトながら」は、現在、「ムーンライトながら」の臨時便に使用されている、JR東日本の183・189系に使用車両が変わるため、JR東海の373系による運転は、まもなく終了となるのだ。そこで、定期列車での「ムーンライトながら」をしっかりと記録しておこうと思い、残り1週間となった3月6日の夜、東京駅へ撮影に出掛けてきた。
一旦帰宅してから再び外出。東京駅に到着したのは、22時30分頃のことであった。「ムーンライトながら」に使用されるJR東海の373系は、この運用に就くために、静岡から東京までの普通列車として上京してくる。東京駅へ乗り入れてくる東海道本線の普通列車では、数少ないグリーン車を連結しない普通列車。まずはその到着シーンからの撮影とした。22時43分、9番線に373系が入線してくる。私は、8番線に停車していた東海道線の下り列車の出発を待って、撮影を開始した。
ダイヤ改正まで残り1週間となった3月6日、改正を機に季節列車化される「ムーンライトながら」を撮影するために東京駅へと出掛けてきた。
ちょっと見辛いが、373系のヘッドマークには白地に小さな黒文字で「普通」と書かれている。3編成つなげた9両編成は、長編成が目立つ東海道本線東京口では、やや短めな編成である。グリーン車も連結されていないため、ちょっと物足りない部分はあるが、使用される373系そのものが特急形車両と言う事で、9両とも車端部を除きリクライニングシートとなっており、長距離客には人気がある。また、今では数少ない沼津以西からの直通の普通列車でもある。なお、「ムーンライトながら」が季節列車に格下げされても、この運用には、373系が使用される事は発表されており、引き続き、東京駅では早朝と深夜に373系を見る事が出来る。
さて、到着した373系は、このまま「ムーンライトながら」として折り返すことになる。折り返し運転に備えて、車内の整備をしている間、方向幕やヘッドマークも「ムーンライトながら」に変身する事になる。私は、「ながら」に切り替わった姿を撮るため、8番線で待機する。しかし、平日の22時台ともなれば、8番線も続々と東海道本線の普通列車が入線してくる。ようやくヘッドマークが変わり、撮影しようとした瞬間、次の普通列車が入線してきてしまった。そこで、このホーム上での撮影はいったん中断し、9番線へと移動した。
ヘッドマークも「ムーンライトながら」に変わって出発を待つ。
長良川の鵜飼をイメージしたヘッドマーク部分をアップで撮影。
改正後、季節列車として使用されるJR東日本の183・189系には、この鵜飼をイメージしたヘッドマークは、入っていなかったと記憶している。その為、このマークが見られるのも、あと1週間ほどとなってしまいそうだ。
ちなみに、ヘッドマークの下にある貫通扉の渡り板が黄色く塗られているのがお解かりかと思う。これは、静岡地区を走る211系・313系にも見られる措置で、昨年秋頃からこのように黄色く塗られている。おそらくは、夜間の連結作業時の目印にでも使うのだろうか。
この後、再び8番線へと移動。下り普通列車の出発を待って、9番線に停車中の「ムーンライトながら」を撮影してみた。
改めて8番線側から編成全体を入れて撮影。
そして、再び9番線へと戻り、同列車を出発まで見送ることにした。23時10分、大垣へ向けて、373系「ムーンライトながら」は静かに東京駅を旅立って行った。この列車には、これまでに何度か乗車しているが、それぞれに思い出があり、これでもう373系の「ムーンライトながら」を見る事はないのだなと思うと、何か寂しさを感じた。
1996年3月、それまでの165系を使用した夜行普通列車(通称:大垣夜行)を置き換える形で誕生して、今年で13年が経過。165系の後継車として誕生した373系による「ムーンライトながら」は、まもなく幕を閉じようとしている。季節列車に使用されるJR東日本の183・189系も30年選手。こちらも老朽化の問題が出てくる事だろう。その時、「ムーンライトながら」は、どうなっていくのだろうか。再び、373系による「ムーンライトながら」が運転されることを少しだけ期待して、この記事のタイトルには「?」を入れておいた。
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コメント
大学時代(特に研究室に配属されてから)、帰りにこの「普通」に乗って帰ってきました。
湘南地区からでは、窓際は空いておらず、この時間帯にしては混んでいる列車でした。
改正後は、田町で宿泊でしょうか?「東海」も「ながら」もなくなる改正後は、本来の意味ではない「普通」としての活躍になりさびしいです。
投稿: アッパークラス | 2009/03/09 14:30
やはり定期列車としてながらは走ってほしかったです。私は今春から都内の大学に実家から通学します。大学生はやはりコンパとかで夜が遅くなったりとかする事が時々あります。私の場合、普段の通学が東海道線で片道3時間はばかになりません(下車駅は渋谷で、渋谷駅からバスを利用)。
ながらがあると自分の心にちょっとした余裕が生まれるかもしれません。熱海以西に乗り入れる直通普通列車は最終が22:23発(22:53発では熱海までしか進めない)、新幹線も下りの最終が22:47発(N700系で運転)となっていますし、やはり23:00近くまでコンパ等に居続ける事ができませんね。一応中央線沿線に親戚が住んでいますので、万が一の場合はそこに泊まる事もできますが・・・。
私は定期列車としての快速「ムーンライトながら」運行終了後、現行の373系送り込みの普通列車の運行スジが211系かE231系で熱海もしくは小田原、国府津?? までの運転になると思っていました。だが373系が普通列車の為だけに夜に上京し、田町で一夜を明かして明け方に静岡に向けて帰っていくというダイヤが組まれたようです。373系も特急、快速列車の運用を徐々に離脱しつつありますね。
投稿: mi-ha- | 2009/03/09 16:48
確かに大垣夜行の思い出は尽きないです。仲間内で乗る時、20時並べばボックス確実、21時は微妙、22時は立ちんぼありとしてました。
臨時便と共に暫定品川発になると、臨時は167のアコモ車が入ったりして、早く大垣に着く定期便に並ぶか167に期待して臨時便に並ぶか迷ったものです。
臨時便が先に着くダイヤになってからは夜行もしんどくなり(?)もっぱら朝一で下ってます。
今回それが残ったのは不思議ですね。乗入れのキロ数調整なのでしょうか?185の普通列車と共に長く残ってほしいものです。
投稿: わるわる | 2009/03/09 22:51
皆さん、コメントありがとうございます。
アッパークラスさん>
裏ながらともいわれる373系の普通列車、学校帰りに利用されていたんですね。私もこの列車には何度か乗車していますが、9両編成という短さもあってか、結構乗っていますよね。以前、撮影の帰りに大船駅から乗車しましたが、横浜までは立っていた記憶があります。改正後は、仰る通り田町停泊ということになるかと思います。
miーhaーさん>
沼津から渋谷まで3時間もかけて通学とは大変ですね。大学生ともなれば、仰る通り付き合いも増えますから、当然、最終列車の時刻も気になりますよね。新幹線も使えますが、なるほど、新幹線と在来線では、最終列車の時刻はそれ程変わりないですね。もし、終電に乗り遅れても、「ながら」があれば余裕があるというのは解ります。なお、ダイヤ改正後も373系は普通列車として東京まで1往復担当しますが、これはJR東日本とJR東海との間での精算運用によるものと思われます。実際、JR東海側は、東京まで乗り入れ可能な車両が、今となっては373系しかありませんから、この車両を使うしかないのでしょうね。
わるわるさん>
以前は、この大垣夜行に乗るにも、何時間も前からホームに新聞紙を敷いて待ったものですよね。そんな頃が懐かしいです。JR東日本の165・167系も引退し、臨時便まで「ながら」化された今では考えられないことではあります。私も2年ほど前までは、「ながら」を利用して、名古屋方面へ遠征した時期もありますが、最近はちょっとしんどくなってしまったせいか、早朝の新幹線で向かうことも増えてしまいました。373系による東京乗り入れについてですが、miーhaーさんへのコメントにも書きましたように、精算運用の都合上で残されたものと思われます。東京口に残る異色の普通列車として、末永く運転してもらいたいものですね。
投稿: TOMO | 2009/03/10 13:01
初めまして。バイシと申します。いつもHP興味深く拝見しております。
大垣夜行はグリーン車で大垣から大船まで乗ったり、というような長距離利用の記憶もありますが、東京から大船へ帰る際に、普通に終電として利用した回数の方が多いと思います。その時、長距離利用の方とはものすごいギャップを感じたものです。
373系になってからは、送り込みと返却の列車が、東海道線東京口では貴重な、グリーン車のない普通列車でした。一度大船で東京へ向かおうとグリーン券を手にして待っていたら、送り込みの列車に当ってしまい、いそいで横須賀線のホームへと走ったことがあります。
ダイヤ改正後も静岡と東京が、一日一往復だけですが、一本の普通列車で結ばれているのはいいものです。臨時「ながら」仕業がないときは、田町で一晩を明かすんでしょうかね。
投稿: バイシ | 2009/03/11 01:08
バイシさん、コメントありがとうございます。
「ムーンライトながら」になる前、165系での375M時代は、指定席車両などありませんでしたから、この列車を最終列車の代わりに利用している通勤客の方は、結構いらっしゃいましたよね。時々、そのまま寝過して、気がついたら浜松だったとか、豊橋だったとかという話を聞きましたが、今では東京駅出発時点ですと指定券を持っていないと乗れませんから、そんな事はなくなりましたね。
373系による「ムーンライトながら」は、間もなく運転を終了しますが、改正後も373系は東京駅へとやってきます。その列車が唯一の沼津以遠からの直通の普通列車ですね。仰る通り、1日1往復でもこのような列車があることは、良いことだと思います。ちなみに、臨時「ながら」は183・189系での運転となるため、運転日に関係なく、373系は田町停泊と言うことになるかと思います。
投稿: TOMO | 2009/03/12 12:46
楽しく拝見させていただいてます。
定期のムーンライトながらも終わりとなりましたが残念でなりません。
この列車の上りは名古屋など西に行った時の終電として利用できただけに不便になります。
個人的にはな考えなのですが繁忙期には季節列車に臨時列車を加えるべき需要があると思います。
その辺をどうするか気になります。
投稿: maa | 2009/03/14 23:56
maaさん、コメントありがとうございます。
定期「ムーンライトながら」を愛用されていたファンは結構多かったですから、今回の廃止を残念に思っている方は多いようです。しかし、同列車の現状を見てみますと、青春18きっぷシーズン以外は空席が目立ち、唯一、金曜日の夜が比較的利用率が良いかなと思うような感じでした。それだけに、今回の季節列車化は仕方なかったのかなと思います。
また、今は夜行バスも強敵ですね。青春18きっぷシーズンでも、案外、季節列車の1往復だけで足りてしまうかもしれません。それも寂しい話ではありますが・・・
投稿: TOMO | 2009/03/17 01:17