引退間近 会津鉄道キハ8500系を撮影
さて、新高徳駅周辺での視察を無事に終えた私。いよいよ、ここからが今回の遠征目的の本番、会津鉄道のキハ8500系を撮影するために、野岩鉄道線内へと向かう。
会津鉄道キハ8500系は、2001年9月まで運転されていた名鉄・JR東海の直通特急「北アルプス」に使用されていたキハ8500系を譲り受けた車両で、2002年3月より、快速列車「AIZUマウントエクスプレス」として運行を開始。更に2005年からは、野岩鉄道を経由して、東武鉄道の鬼怒川温泉駅までの乗り入れを開始。現在に至るが、この度、車両そのものの老朽化や部品の維持管理などが問題となり、引退する事となった。当初は4月中の引退を予定していたのだが、諸事情により、ゴールデンウィーク中は継続して運用されていると聞き、急きょ、連休中に最後の雄姿を見届けようと計画したのである。
まずは新高徳から特急列車で鬼怒川温泉に移動。駅構内で昼食を摂った後、鬼怒川温泉駅14時41分発の会津高原尾瀬口行きに乗り込み、野岩鉄道線内へと向かう。トンネルと高架橋ばかりで構成されている野岩鉄道沿線での撮影は、撮影場所が限定されてしまう。また、ネットで検索していたのだが、これと言った撮影地が見つからなかった。そこで、各駅の様子を調べてみると、中三依温泉駅が築堤上に設けられており、並行する道路との高低差も少なそうだと言う事が判明した。これなら何とかなるかも?と思い、目的地は中三依温泉駅に決定した。
鬼怒川温泉駅を出発し、暫くは先頭車両で被り付き。まずは鬼怒川の温泉街を進んで行くが、以外にも鬼怒川公園駅との間に撮れそうな場所を発見。ここにすれば良かったかな?と思ってしまったが、既に乗車券を購入してしまったため、もう引き下がれない。諦めて先に進む。およそ5分ほどで、東武鉄道の最後の駅となる新藤原駅に到着。ここで、会津高原尾瀬口方面からの列車と交換するのだが、この列車が、喜多方から来る快速「AIZUマウントエクスプレス」である。そこで、ホームの先端より、新藤原駅に入線する「AIZUマウントエクスプレス」を撮影する事にした。
野岩鉄道のトンネルを抜けて、新藤原駅に進入する、会津鉄道キハ8500系「AIZUマウントエクスプレス」
途中駅でやや遅れが出ているらしく、予定時刻より2分ほど遅れて、「AIZUマウントエクスプレス」が新藤原駅に到着した。
「AIZUマウントエクスプレス」の到着と入れ替わりに、いよいよ私が乗車している会津高原尾瀬口行きが出発となる。新藤原駅で、運転士・車掌共に野岩鉄道の乗務員に交代。発車すると、車掌より車内放送が入り、最後に車掌が車内に入り検札をするとの告知があった。野岩鉄道では、無人駅が多い事やPASMO・Suicaが使用できない事もあり、東武鉄道から一歩、野岩鉄道に入ると、すぐに検札をしているようである。なお、車掌が検札を行っている間、車内アナウンスとドアの開閉は、全て運転士が担当している。なかなか器用な運転士で、車内アナウンスとドア開閉を上手くこなしていた。
ところで、野岩鉄道は、開業時より全線電化されているが、先程の「AIZUマウントエクスプレス」は気動車。気動車の運転には、電車の運転とは異なり、甲種内燃車動力車操縦士運転免許が必要なので、どうなっているのかと思っていた。そこで、Wikipediaで野岩鉄道会津鬼怒川線について調べてみると、気動車列車の運転は、会津鉄道に委託しており、鬼怒川温泉まで会津鉄道の運転士が運転を担当。また、1990年に会津高原(現:会津高原尾瀬口)~会津田島間を電化した会津鉄道では、一部の運転士に甲種電気車免許を取得させて対応していたものの、現在では電車の運転を野岩鉄道の乗務員に委託しているとの事で、運転士のやり繰りに関しては、野岩鉄道と会津鉄道の両社で上手く調整しているそうだ。
さて、列車はトンネル・鉄橋・トンネルを繰り返しながら、およそ20分ほどで中三依温泉駅に到着した。開業当初は、中三依駅と名乗り、更に中三依発着の列車まであった時期もある事から、駅前もそれなりに発展しているのかと思いきや、駅前広場には閉店した食堂が1軒あるのみ。駅は無人駅で、乗車券の券売機は無く、更には乗車駅証明書発行機もないと言う、まさに何も無い駅であった。とりあえず、線路に沿って歩いてみる事に。道は、公共の宿「みより ふるさと体験村」へと繋がっているが、暫く歩くと行き止まりで正面は林になってしまった。良い感じに線路に近付いて来たのに・・・と思った時、林の向こう側に人がいるのを発見。そのまま林に入っていくと、線路のすぐ横に出た。で、先程見えたおばさんは、土地の地主さんのようで、山菜取りをしていた。そこで、このおばさんに声をかけて、撮影させてほしい事を伝えると、あっさりと承諾していただいた。これで一安心。あとは、列車の通過を待つばかりだ。
現地到着からおよそ10分後。鬼怒川温泉から「AIZUマウントエクスプレス」が折り返してきた。早速撮影を開始する。
中三依温泉駅を発車し、会津若松を目指す「AIZUマウントエクスプレス」(許可を得て撮影)
まずは正面から撮影してみる。このアングルだと逆光になるのだが、林の中に列車が入っていく感じが気に入り撮影してみた。また、ちょうどこの場所には、保線用車両の留置線が1本併設されており、スペース的にも余裕があった。
そして後追いは順光。(許可を得て撮影)
当然の事ながら、後追いは順光となる。バリ順でこれだけ撮れれば私も大満足。おばさんに感謝しなくては・・・
「AIZUマウントエクスプレス」通過からおよそ10分ほどすると、今度は東武6050系による新栃木行き普通列車が来ることになっていた。さすがに、この時間では駅まで戻って乗れるかどうか微妙だったので、この場所で、東武6050系も撮影する事にした。
中三依温泉~上三依塩原温泉口間を行く、東武鉄道6050系。(許可を得て撮影)
「AIZUマウントエクスプレス」と入れ替わりにやって来た6050系は、御覧のように霜取りパンタを増設した車両。実は初の撮影で、バリ順で撮れた事がとても嬉しかった。大満足で撮影を終えて、おばさんにお礼をと思ったところ、線路を挟んで反対側の山林へ消えてしまっていた。ついさっきまで、線路から見える場所にいらっしゃったのに・・・ おばさん、ありがとうございました!
中三依温泉での撮影は、予想以上の成果があった。私は来た道を駅へと戻り、鬼怒川温泉行きの列車を待った。今度の列車は、会津若松から来る快速列車「AIZU尾瀬エクスプレス」で、会津鉄道のAT-650形による運転だった。時刻表を見ると、中三依温泉駅でも3分ほど停車時間がある事が判明したため、ホームの先端から入線シーンを撮る事にした。
中三依温泉駅に入線する快速「AIZU尾瀬エクスプレス」
「AIZUマウントエクスプレス」と並んで、鬼怒川温泉駅で東武の特急列車と接続するための快速列車用に増備された車両だけあって、車内は転換クロスシートが並んでいた。私は車掌から鬼怒川温泉までの乗車券を購入して、先頭車両へと移動する。運良く空席を見つけて、野岩鉄道の高規格線路上を力走する気動車のエンジンを堪能し、鬼怒川温泉へと戻った。同駅では、1分の接続で、東武鉄道の特急列車と接続しているのだが、流石に1分では特急券を購入できない。そのまま鬼怒川温泉駅で下車。1時間後の特急列車の残り1席を無事にゲット。特急列車の待ち時間を利用して、駅前の足湯につかり、歩き疲れた足をリフレッシュ。足湯につかりながら1日を振り返ってみた。鉄分は少なかったかもしれないが、初めてスペーシアにも乗る事が出来たし、最後にはキハ8500系も好条件で撮る事が出来る等、この日の収穫は大きかった。
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コメント
会津の8500は名鉄自体には一度遭遇してますが、一度も撮ったことありません。
サイト用の素材としては撮っておきたいところですが、他に優先することがあるなどで手が回らないので早々に諦めました。
もっとも、野岩鉄道も会津鉄道も大阪からアクセスするには結構面倒なので、未だに乗ってないと言うのが実情なのです・・・。
投稿: DK-Kawachi | 2010/05/08 18:33
こんにちは。
私も今年になってから2回ほどキハ8500を撮りにいっており、野岩鉄道で撮っています。行った場所は川治湯元の俯瞰で、列車を大きく写すことはできませんが、山間を行くキハ8500の姿を撮ることができました。
トンネルと高架が多い路線ですが、山中に突如、高架橋が現れたり、風景的にはおもしろい路線かもしれませんね。
投稿: GO | 2010/05/10 23:17
DK-Kawachiさん、GOさん、コメントありがとうございます。また、コメント返しが遅くなりまして申し訳ございません。
>DK-Kawachiさん
野岩鉄道と会津鉄道、確かに関西からですとアクセスしにくいですね。せめて喜多方まで延長運転してもらえると、東北新幹線・磐越西線を使えば入り易いかもしれませんが・・・実車の方は、ついに引退時期が発表され、今月中で引退となるようです。
>GOさん
ブログ拝見しました。川治湯元の俯瞰も野岩鉄道らしさが出ていて良いなあと思いました。今回、初めて野岩鉄道を訪問しましたが、仰る通り風景的には面白い路線かもしれませんね。
投稿: TOMO | 2010/05/21 03:17