では、ここで、10月10日の小学館のイベントに行く前に撮影したものを先に取り上げておきます。
古くから湯治場として知られている群馬県の草津温泉。東京方面から列車で草津温泉へ行く場合、上野駅からの特急「草津号」の利用が定番であるが、この「草津号」が、1960年6月1日に運転を開始してから、今年で50周年を迎える事になった。
「草津号」は、東海道本線で湘南電車として華々しくデビューした80系電車を使用した臨時準急電車として運転を開始する。そのスタイルから、颯爽と草津温泉へ向かうものと思いきや、長野原線(現:吾妻線)が長野原(現:長野原草津口)までしか開業していない上に、当時は非電化であり、電車本来の姿で運転出来たのは、渋川駅まで。渋川駅からは、C11形蒸気機関車またはC58形蒸気機関車に牽引され、長野原へと向かうと言うものであった。
50周年の節目の年。JR東日本高崎支社は、この「草津号」に運用されている185系を1編成だけ、50年前の運転開始当初に使用されていた80系電車をイメージした湘南色に塗り替えて運転する事になった。湘南色に塗り替えられたのは、大宮総合車両センターに所属するOM03編成。9月21日に出場し、翌22日より営業運転を開始した。湘南色に塗り替えられた同編成は、通常運用に入る為、「草津」に限らず、「水上」や「あかぎ」と言った列車にも充当される為、なかなか同編成だけの単独運用を撮る機会が恵まれなかったのだが、この三連休に合わせて、新宿~長野原草津口間で運転された「草津51・52号」に充当される事になり、三連休の中日である10日の午前中、日比谷公園に向かう前に、この「草津51号」を、池袋駅で撮影する事にした。
私は10時過ぎに家を出発。高田馬場経由で池袋駅に向かうと、同駅2番線ホームの新宿方先端には、多くの鉄道ファンが押しかけており、「草津51号」の到着を待っている状態であった。既に、私一人が入る隙もなく、ホーム先端での入線シーンの撮影は諦め、同ホームの大宮方へと移動。停車してからの撮影に切り替えたものの、こちらも7両編成の停止位置付近には、20人ほどのファンが待ち構えている状態であった。もうこうなったら開き直るしかない。多少人を入れた状態で撮った上で、トリミングで対応する事に。
11時05分、湘南色に塗られた185系OM03編成がゆっくりと3番線に到着。早速撮影を開始した。
池袋駅に到着した「草津51号」
80系電車の塗り分けを再現した185系OM03編成による「草津51号」。御覧のように、正面には通常のヘッドマークではなく、80系電車時代に掲出していた物を模した「50周年草津号」のヘッドマークを掲出しての運転である。
そして、注目していただきたいのは、この車両である。
グリーン帯も再現されたサロ185。
かつて、近郊形及び急行形車両のグリーン車には、四葉のグリーン車マークの他、このように窓の下にグリーンの帯を入れて、普通車との区別を付けていたが、今回の塗装変更では、この帯も再現された。これが、なかなか良い味を出している。
また、185系電車は、同年代に製造された201系電車と同様に、パンタグラフがモハユニットの外側にパンタグラフが付く事から、急行時代の「草津号」に使用されていた、新前橋電車区所属の165系電車と、全く同じ位置にパンタグラフが付く為、こうして湘南色に塗り替えらえれると、165系の急行列車を思い出してしまった。
こうして地味だった185系に、注目すべき編成が1編成出現した。しかし、12月に迫るダイヤ改正では、大宮総合車両センターの185系で運転されている特急列車「水上」の季節列車への格下げや、「あかぎ」の一部列車の廃止が予定されており、185系にも余剰車が出てくる可能性がある。登場からまもなく30年。この車両にも、近い将来、大きな変化が訪れる事になるのかもしれない。
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