被災した第三セクター鉄道を救え!いすみ鉄道キハ52チャリティー撮影会開催
4月3日のお話。
東北地方太平洋沖地震発生から約3週間が経過したこの日。千葉県を走る第三セクター鉄道、いすみ鉄道では、この春より運転を開始するキハ52を使ったチャリティー撮影会が開催された。
今回の震災では、その後に発生した津波により、東北地方から千葉県にかけて、鉄道にも大きな被害が及んでいる。各線とも巨額の復旧費用がかかるが、その中でも、JR東日本が運営している路線については、復旧に向けて少しずつ動き出しているが、経営状態の厳しい第三セクター鉄道にとっては、会社の存続をも左右する死活問題となっている。厳しい状況に追い込まれた第三セクター鉄道を救おうと立ち上がったのが、いすみ鉄道だ。キハ52の撮影会を開き、撮影会に来ていただいたお客さんに、募金に協力してもらおうというのが、このイベントの趣旨であった。被災した鉄道会社の中には、このところ、色々とご縁のあった、ひたちなか海浜鉄道も含まれている。これは現地へ行って、募金に協力し、そして、キハ52の運転開始に向けて頑張っている、いすみ鉄道も応援しよう。そう思って出かけることにした。
当日朝、私はまず東京駅へと向かう。なにもチェックしないで出てきた私。てっきり外房線の特急は動いていると思いきや、動いているのは普通列車だけ。仕方なく、京葉線の上総一ノ宮行き快速でスタート。ホリデーパスで乗っていたこともあり、いったん茂原で下車し、後続の安房鴨川行きへと乗り換え。節電のため、暖房が入っていない肌寒い209系で我慢しながら外房線を進み、いすみ鉄道の始発駅、大原に到着したのは、11時23分のことであった。大原駅の改札口を出て、右に曲がると、いすみ鉄道の大原駅があった。早速、ここで1日乗車券を購入し。列車の到着を待つ事にする。待つ事およそ10分、上総中野からの列車が到着。折り返し、私が乗車する上総中野行きとなる。到着した列車から乗客が降り切るのを待って入場。停車していた2両編成の列車に乗り込む事にした。
大原駅に停車中のいすみ鉄道上総中野行き。この列車で大多喜へと向かう事に。
出発を待つ2両のレールバス。いすみ200形。側面に、ムーミンのキャラクターがラッピングされているこの車両は、1988年、木原線からの転換開業時に投入された車両で、当時の富士重工で第三セクター鉄道向けに製造していたLE-Carllシリーズの車両である。その為、同型の車両は、各地の第三セクター鉄道で見られたが、老朽化が進み、現在では、樽見鉄道・わたらせ渓谷鐵道等に残るのみとなっている。このいすみ鉄道でも、7両が投入されたが、既に1両が廃車となっている。
ホーム上での観察を終えた後、早速車内へ。節電の為、暖房を使用していなかった209系電車とは対照的に、暖房も効いておりホッとする。2両編成の車内は、思ったよりも乗客で埋まっていた。もちろん、地元の方達が多いという訳でもなく、私のような鉄道ファンや、昨今の鉄道旅行ブームを反映しているのか、ぶらっと乗りに来たと言うような感じの人が多く、中には女性の一人旅と言った感じの方もいた。そんな事を反映してなのか、ベテランの運転士は、途中、景色のいいところで徐行運転をして、乗客に案内をするというサービスも見られた。
大原駅を出発してから、およそ27分後の事。目的地である大多喜駅に到着。構内は、キハ52目当ての鐵道ファンの姿が目立っていた。まずは、反対側のホームに停車していた大原行を撮影してみる事に。
大多喜駅で交換した大原行。
大原行が出発した後、反対側のホームに移動。今度は、私がここまで乗車してきた上総中野行きを撮影する事にした。
大多喜駅を出発し、上総中野へと向かういすみ200形。
上総中野行きを見送った後、いよいよお目当てのキハ52の前へと向かう。昨年3月まで、大糸線で活躍していたキハ52 125。大糸線時代は、スカ色に似た旧国鉄気動車標準色を纏っていたが、いすみ鉄道入りした後、国鉄気動車標準色に改められ、大変美しい姿で構内に停められていた。
美しい姿に整備されたキハ52 125。まずは正面から。
まずは縦アングルで正面から撮影してみた。大糸線時代は、窓周りのHゴムも黒い物が使用されていたと思うが、いすみ鉄道入りして塗装変更した際、国鉄時代のグレーのものに再現されたようで、このアングルから見ると、国鉄時代の姿に、より一層近付いているのが解る。
続いて、車両全体が写るように撮影してみる。
キハ52に掲出された「そと房」と言うヘッドマーク。かつて房総半島を走っていた急行列車には、若干形は違うが、このようなヘッドマークが掲出されていた。急行列車と言う事で、基本的には、キハ58など急行形車両が充当されていたのだが、夏の海水浴シーズンには、車両が不足する事から、キハ20と言った一般型気動車が、臨時急行に使用されるケースがあり、一般型車両を使用した急行列車を、当時の鉄道ファンは、遜色急行と呼んで皮肉っていたという。
この後、大多喜駅構内の売店へと向かい、グッズを購入。そして、レジの横に募金箱を見つけたので、お札を一枚、寄付することにした。
そして、再びキハ52の前へ戻ってくると、何やらヘッドマークとサボを交換するという。そこで、再びキハ52を撮影することにした。
側面のサボ受けに入った木原線時代のサボ。
国鉄木原線時代のサボだろうか。地元在住の方がコレクションにしていたのか、会場に持ち込んでくれたようだ。有り難く撮影させていただく事に。
ヘッドマークが外され、台座のみに。
先程までの「そと房」が外され、外側の台座のみが掲出された状態となった。そして、この後・・・
「夷隅」のマークが入った。
新たに入れられたヘッドマークは、ご当地「夷隅」のマーク。国鉄時代に「夷隅」と言う列車は無く、あくまでもオリジナルとして作られたものだそうだ。
一通り撮影も済み、満足できたので、この撮影を以て、大多喜から離れる事にした。この直後、ちょうどやって来た大原行に乗車。一駅、大原寄りとなる城見ヶ丘駅で下車する事にした。この駅の周辺は、高速バスが発着する事から、お店も多く、ファミレスもあったので、ここで昼食を摂る事にした。そして、昼食を摂り終えた後、駅周辺で満開となった菜の花を入れて列車を撮影する事にした。
上総中野へと向かう、いすみ201。
城見ヶ丘駅の大多喜方にある菜の花を入れて撮影してみたのだが、ここはイマイチだったかも。
今度は菜の花を主役にして・・・
城見ヶ丘駅の大原方にある菜の花を主体にして、撮影してみた。
城見ヶ丘駅停車中の上総中野行き。
駅の脇も菜の花が咲いていたので、停車中の姿も、なかなか良い感じだった。そして、雲行きが怪しくなってきたので、この次の大原行で撤収する事にした。
城見ヶ丘駅に入線する大原行。
ちょうど、大多喜駅構内でのキハ52の撮影会も終わったばかり。入線してきた大原行は、地元の学生さんたちの中に、鉄道ファンが混ざり、車内は混み合っていた。このまま大原まで乗車。大原駅改札を出ると、雨が降り出してきた。撮影会の間だけでも、お天気が持ってくれたことは有りがたかった。
チャリティー撮影会という形で展示されたキハ52だが、今月29日より、週末及び休日に急行列車として運転することになった。デビューから46年。温暖な房総半島で余生を過ごすことになったキハ52。そろそろ撮影計画を立てるとするか・・・
| 固定リンク | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 西武多摩湖線 2000系による代走発生(2025.05.13)
- 西武2000系 2419F+2047Fが多摩湖線直通急行に充当される(2025.05.11)
- 西武10000系 「音鉄」ツアー列車を撮影する(2025.05.10)
- ゴールデンウィークも継続 西武8000系乗務員訓練(2025.05.06)
- 西武8000系 8103F新宿線での試運転(乗務員訓練)を撮影する(2025.04.27)
「鉄道:第3セクター」カテゴリの記事
- 阿武隈急行 A417系引退(2016.05.30)
- いすみ鉄道 キハ52単行運転を撮影する(2015.02.08)
- 撮り納め 国鉄気動車一般色塗装のいすみ鉄道キハ52(2014.03.19)
- 北近畿タンゴ鉄道 リニューアル車両「あおまつ号」「あかまつ号」を京都駅で観察する(2013.04.21)
- しなの鉄道 「ありがとう・さようなら169系」オープニングイベント開催(2012.12.27)
「鉄道:いすみ」カテゴリの記事
- ブログ開設20周年(2024.09.06)
- いすみ鉄道 クラウドファンディング支援者向け団体列車を撮影する(2019.07.21)
- いすみ鉄道 キハ52お披露目撮影会に参加する(2019.06.30)
- さよならタラコ色 塗装変更前のいすみ鉄道キハ52を撮影する その2(2019.06.20)
- さよならタラコ色 塗装変更前のいすみ鉄道キハ52を撮影する その1(2019.06.15)
コメント
ありがとうございます。
こちらのイベントは盛り上がったのでしょうか。
(吉田)
投稿: ひたちなか海浜鉄道 | 2011/04/24 14:29
ひたちなか海浜鉄道 吉田社長様
コメントありがとうございます。また、コメント返しが遅くなりまして申し訳ございません。
この度の震災では、ひたちなか海浜鉄道も多大な被害があり、ネット等で見た被災現場の写真を見て、言葉も出ませんでした。震災発生時に運行していた列車の乗客や乗務員さん、並びに車両に一切被害が無かったことが、本当に一番の救いと言える事と思います。今回、このイベントでは、被災した鉄道会社さんに、少しでもお手伝いが出来ればと思いまして、僅かな金額ではありますが、募金をさせていただきました。
ひたちなか海浜鉄道は7月頃の運転再開を目指していらっしゃると聞いております。再開した際には、すぐにでも現地に出向き、湊線に乗りに行くつもりです。また、近いうちに復興祈願の記事も書きたいと思っております。これからも大変な日々が続くと思いますが、地域の足の維持のために、頑張ってください。応援しております。
投稿: TOMO | 2011/05/05 09:42