久留里線 国鉄形気動車最後の日
木更津から上総亀山までを結び、今年開業100周年という節目の年を迎えた久留里線。全国でも、ここだけとなったキハ30や37が活躍する路線として有名だが、100周年の節目の年に、ついに、新型車両、キハE130系100番台車に置き換えられる事となり、同線の国鉄形気動車は、12月1日を以て、運用を終える事となった。
最終日前日となった11月30日の事。鉄道好きミュージシャン、オオゼキタク氏主催の飲み会が、人形町のキハで開かれた。私は、偶然にも別の方からの誘いを前もって受けており、この日はキハへ行く事になっていた。そんな事から、オオゼキ氏主催の飲み会にも顔を出した。すると、参加者のお一人が、当日朝、久留里線を訪れており、キハ30の3連を撮影されたと言う。画像を見せてもらい、もう一度、キハ30を撮る気力が湧いて来た。翌日、最終日を迎えたキハ30を撮りに、久留里線へ向かう事にした。
12月1日。久留里線では、キハE130系が営業運転を開始しており、この日に限り、久留里線は、新型車両と国鉄形車両の両方が営業運転に就く事になっていた。そして、久留里駅で13時45分頃より、国鉄形車両のお別れセレモニーが開かれる事になっていた為、セレモニーが開かれる時間帯に、久留里へ向かう列車には、国鉄形車両が運用に入っているだろうと判断。それに間に合うように、現地入りとした。
総武快速線から内房線へ直通する快速電車で木更津入りしたのは、11時20分頃のことだった。この時、久留里線ホームには、まだ車両は入線していない。しかし、ホームに隣接した側線には、キハE130系が留置されているのが見えた。まずは、この車両から撮影する事にした。
ついに久留里線にも新型車両が・・・12月1日より営業運転を開始したキハE130系100番台車。
側線に留置されていたキハE130系100番台車。3両編成に組んだこの車両は、複数のサイトを見る限り、数日前より、この場所に留置されていた車両のようである。従って、この日もまだ営業運転には就いていない可能性が高いが、既に一部の車両が、営業入りしている事から、この3両に関しても、翌日からは営業運転に就くものと思われる。
この日、後に、キハE130系に乗る事となるのだが、助手席側(正面の向かって左側)には、ミラーが設置されているのが、この画像でもお解りいただけるかと思う。実際に乗車してみると、一部のドア付近には、無人駅から乗車した際に使用する、乗車証明書発行機が設置されている他、乗務員室扉上部には、停車駅や行先を表示するLCD式表示機が設置されており、何やら近い将来、久留里線のワンマン化を想像させるような造りとなっている。
この時点でも、次の久留里線の列車までは30分近くある。そこで、この間に腹ごしらえをしようと、いったん改札を出場する。そして、まず最初に訪れたのが、久留里線の車両基地となっている幕張車両センター木更津派出を観察できる側道。ちょうど良い位置に、キハ37が停められており、数名の鉄道ファンが撮影をしていた。
留置中のキハ37(右)とキハ38。
久留里線と現いすみ鉄道である木原線の為に新製投入されたキハ37。全国的に見ても、僅か5両だけの製造に留まり、JR西日本に継承された2両は既に廃車となっている。ここ、久留里線に残った3両も、この日が最終日。この時点で、幕張車両センター木更津派出内にいると言う事は、隣にいるキハ38も含めて、もう運用に就く事は無いのだろう。
そして、この後、駅そばで早めの昼食を摂る事に。食べ終わって店から出てくると、久留里線ホームには、久留里行き931Dとなるキハ30の2連が入線していた。発車まで、残り10分を切っており、急いで駅へ向かう事にした。
入線していたキハ30を、跨線橋から撮影してみる。
停車していた2両編成のキハ30は、一般のお客さんよりも、別れを惜しんでやって来た鉄道ファンの方が目立つと言った状況。普段は、空いている車内も、この日はかなりの立ち客がいるような状況であった。私は、比較的すいていた2両目に乗車したが、それでも、とても座れるような状況ではない。
列車は、時刻通り、木更津駅を発車。ゆっくりとした速度で進んで行く。幼い頃、高崎の親戚宅へ行く時に、拝島からよく八高線を利用した。何度となく乗った思い出のキハ30も、これが最後の乗車となる。思い出に浸りながら、以前訪れた事がある横田駅で下車した。
横田駅に停車中のキハ30。
少し前までは、この駅でのタブレットの受渡シーン等を撮られた方も多いかと思う。実際に、この列車も到着後、暫くは停車していたので、ここで、上り列車と交換するのかと、ちょっと期待してしまったが、実際には、交換することなく出発してしまった。時刻表で確認すれば解った事なのだが、全くチェックしていない自分がお恥ずかしい。
横田駅を発車。久留里へと向かうキハ30。
この後、久留里から折り返してくるキハ30を撮影する事になるのだが、前回、訪れたこの近くの鉄橋は、近くに葬祭場が出来てしまったと、以前、コメントを頂いた事もあって、行く気になれなかった。とは言え、車内から見た限りでは、かなりの人数の鉄道ファンが訪れて撮影していた。で、今回は、次の東横田駅までの区間が、畑が続いていると言う事で、撮影易いだろうと判断し、駅から東横田駅方向へ歩く事にした。5分ほど歩くと、すぐに撮影し易い場所を発見。ここで、暫くの間撮影する事にした。
現地到着から待つ事およそ40分。上り列車がやって来た。
キハ38の2連による木更津行き934D。
既にキハE130系が営業運転に入っていると聞き、今日は、キハ30しか運用に入っていないのではないかと、木更津を出る時は思ってしまったのだが、撮影地に到着して、最初にやって来たのが、かつて八高線でも乗車した事があるキハ38だったのは、とても嬉しかった。国鉄色のキハ30ばかり目が行きがちだが、この車両も、国鉄末期のデビュー。そして、この日が運用最終日である。
キハ38による木更津行きは、横田駅で下り933Dと交換してからの発車となる。続けて、下り列車も撮影する事になるのだが・・・
キハE130系100番台車2連による上総亀山行き933D。
やって来たのは、本日より久留里線の新しい主役となるキハE130系100番台車だった。正面のデザインや3扉ロングシートと言う事からして、キハ30を現代版にアレンジしたような車両にも見えてしまう。
933Dを後追い。
デビューしたばかりのキハE130系だが、今回は車両を置き換えただけで、ダイヤの変更は無い。いずれ、キハE130系の高性能を生かし、スピードアップが実施される事になるのだろうか。走り去る新型車両を見ても、まだまだ全体の70パーセント程度の実力しか出していないような走りに感じた。
この後、久留里から戻ってくる936Dまで、約45分ほど待つ事になるのだが、だんだんと雲行きが怪しくなってきた。そのうち雨が降り出したと思ったら、風が出てきた。風が思いのほか強く、持参した折り畳み傘が広げられない状況に。まあ、雨が風で飛ばされるから我慢するかと思っていたところ、今度は雹が降りだしてきた。さすがに、これは当たると痛いので、急きょ、横田駅へ避難する事にした。
撮影地から駅までは、およそ5分ほどの距離なのだが、激しい風雨そして雹により、駅に着く頃にはコートやズボンはかなり濡れてしまった。駅に到着した後、ハンカチなどで濡れた服を拭くが、すっかり体は冷え切ってしまった。そして、同じように、撮影地から避難してきた人たちで、横田駅の駅舎内は、外に出る事が出来ない鉄道ファンでいっぱいになっていた。せっかくここまで来たのに、キハ30の走りを、沿線で撮れないのか。駅舎内では、集まったファン達が、皆、諦めモードで待機しているような状況。こうなったら、天気の回復を祈るしかない。まだ時間は有る。もう少ししたら雨も上がるかもしれない。そう信じて待つ事にした。そして、936Dの到着およそ10分前ぐらいから、雨が弱くなってきた。そこで、先程の撮影地へ。そして、936Dが見えてきた頃には、雨も上がって来た。
キハ30の2連による木更津行き936D。
国鉄色キハ30だけで構成された2連は、この日どうしても撮影しておきたかったので、雨が上がってくれた事は、本当に有り難かった。
936D後追い。車内は満員だった。
この後、936Dは、横田駅で下りの久留里行き935Dと交換となる。936D撮影後、線路の近くまで行き、横田駅を見てみると、下り列車は、キハ38だった。横田駅では、国鉄形車両同士の並びということで、多くの鉄道ファンが、ホームや踏切から撮影している様子が見えた。
久留里行き935Dは、キハ38の2連。
どうやら、先程、この場所で撮影した934Dの折り返しのようで、934D同様、キハ38の2連での運転だった。
久留里へ向かう935Dを後追い。
お天気も次第に回復してきていたので、もう少し、この場所で粘ることも考えたが、体はすっかり冷え切ってしまったため、この935Dの撮影を以て、横田から撤収。木更津へ戻ることにした。
横田駅からは、938Dに乗り込むことになるのだが、やって来たのは、デビューしたばかりのキハE130系の2連。ここで、下りの上総亀山行き937Dと交換することになるため、まずは乗車前に、937Dの入線シーンを撮ることにした。すると・・・
横田駅に進入する上総亀山行き937D。
ご覧のように、下り列車として横田に到着したのは、キハE130系。新型車両同士の並びは、ホーム上の混雑がひどかったこともあり、撮影は諦めた。まあ、新型車両の並びは、今後、飽きるほど撮れることだし、今、慌てて撮らなくてもというのが本音だ。
さて、横田から乗車したキハE130系による938Dは、キハ30を沿線で撮り終えた鉄ちゃん連中の撤収列車でもあり、車内は超満員。木更津までの僅かな時間では、新型車両の魅力を味わうということは出来なかった。それでも、自動放送や車内の設備に、近い将来、ワンマン運転開始の予感を感じさせたのは、冒頭でも触れたとおりである。キハE130系に完全に置き換えられると、どのように久留里線は変わるのか、いずれ、再訪しなくては・・・
さて、木更津駅に到着すると、936Dに使用されたキハ30が、木更津派出に入庫しているのが確認できた。そこで、ホーム上から、入庫したキハ30を撮影することにした。
運用を終えて木更津派出に戻ったキハ30。
こうして、久留里線国鉄形気動車のお別れ撮影は終了した。209系の千葉行きに乗り込み、木更津を後にした。すっかり冷え切った体は、蘇我駅構内でお蕎麦を食べて、やっと回復した。
おまけ
2010年5月1日に運転された、キハ30の3連運転。惜別の思いを込めて、今回は、この時に撮影した画像を白黒にしてみました。
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コメント
段々と国鉄時代の名車がなくなっていきますね、寂しい限りです
投稿: あつし | 2012/12/07 18:02
おはようございます。
オイラもキハ30の最終日前に何度か久留里線を訪れ撮影しました。
最終日はお天気が…。(オイラも別の場所で撮影していましたが、雨に白い物が混じる天気で参りました。)
また近い内に新型車を撮影にのんびり久留里線に行こうかな?
追伸…キハ30・37・38のこれからの動向が気になります。(38は郡山に廃車回送されましたが?)
投稿: 飯塚 | 2012/12/08 05:55
おはようございます。
久々に拝見させていただきました。
キハ30がなくなってしまったのは残念でなりません。
俺も何度となく久留里線を訪れたものです。
また一つ昭和の時代が遠くなってしまったのですね。
キハ30やキハ37はやはり解体なのでしょうね。
投稿: 熊田 虎之助 | 2012/12/09 08:07
鉄道ニュース記事によれば、会津若松へ運ばれたようです。
ED75 758が磐越西線も牽引したそうです。
磐越西線、以前はED77でしたが、ED75が入線可能になったんですね!知りませんでした。
昨年の311直後の緊急燃料輸送のとき、DD51でした。
投稿: 準急豊島園 | 2012/12/13 06:24
皆さん、コメントありがとうございます。
>あつしさん
昭和は遠くなりにけり・・・と言う事なんでしょうね。
>飯塚さん
最終日の天気にはまいりましたね。雹は体にあたって痛かったですし、体がうんと冷えてしまうし、本当にまいりました。熱燗が飲みたくなりましたね。落ち着いたら、新型車による久留里線を楽しみたいですね。
>熊田 虎之助さん
引退した国鉄形車両の今後の動きが気になりますね。キハ30に関しては、1両がいすみ鉄道に行くようですが、展示用みたいですね。
>準急豊島園さん
その後、更に進んで新津へ運ばれたようです。新津へ行ったということは、海外譲渡の可能性もありそうな気がしますが、果たして真相は?
投稿: TOMO | 2012/12/21 12:49