鉄道ファンが集う店 西武秩父駅仲見世通り やきとり「省松」
9月12日、夕方のお話です。
時間調整の為、秩父鉄道和銅黒谷駅を訪れた私。同駅付近で約1時間過ごした後、向かった先は、西武秩父駅の仲見世通り商店街。
都心から西武線経由で、秩父鉄道沿線へ向かう場合、直通電車を使わなければ、西武秩父駅から徒歩で秩父鉄道の御花畑駅へ向かう事になるが、徒歩での乗り換えの場合、殆どの方が、仲見世通り商店街を通る事になる。その仲見世通り商店街のほぼ中間地点にある「やきとり 省松(せいしょう)」が、今回の取材の目的地である。
西武秩父駅仲見世通り商店街のほぼ中間地点にある「やきとり 省松」
弊ブログを御覧の皆様の中にも、このお店の常連だと言う方も多い筈。実は、このお店、現在工事が進められている、西武秩父駅の温泉施設建設工事に伴い、来年1月3日で閉店する事が決定。閉店を知らせる告知が、Twitterにもアップされていた事から、弊ブログでも、省松さんを取り上げたいと思い取材交渉させていただく事に。
閉店を知らせる告知。
元々、省松のご主人も、弊ブログを読んでいただいている事もあり、ブログで取り上げたいと交渉したところ、すぐに快諾していただいたので、焼鳥を頂きながら、お話を伺う事にした。
生ビールと、くるみ味噌だれの焼鳥。お好みで一味唐辛子をかけて食べる。
実は、私自身も、こちらの「省松」の常連。と言っても、ここ数年の事だが、秩父へ行くと、帰りに、この店に立ち寄り、くるみ味噌だれの焼鳥をつまみに、生ビール、冬は熱燗を呑んで、ご主人と鉄道談義をしてから電車に乗ると言うのがお決まりのパターン。何しろ、ご主人の内田さんも大の鉄道ファン。お店の中、と言うか厨房内には、西武鉄道や秩父鉄道の列車の写真が多数貼られており、中には、内田さん自らが撮影された写真もある。また、カウンターには、ご主人お手製の秩父鉄道の貨物列車の時刻表も貼られている。そんな事もあり、お店の常連さんは、鉄道ファンの方が多い。
ご主人の内田さん。厨房内には、内田さんが撮られた写真も貼られている。
そんな訳で、私は、ここ数年の事しか、このお店について知らなかったのだが、内田さんからお話を聞くと、このお店、とても長い歴史が有る事を知った。現在のご主人は、二代目で、お店を切り盛りして17年になるそうだが、先代、つまり、内田さんのお父さんが、仲見世通りでお店を始めたのは、西武秩父駅が開業した5日後、1969年(昭和44年)10月19日からとのこと。今年で営業開始から46年。仲見世通りの中では、一番古いお店なんだとか。
先代のご主人、内田さんのお父さんは、釣りがお好きで、その影響か、当時は、釣り好きの常連客が多く、朝から店に来て、一日中、釣り談義をして行く常連客もいたとか。そして二代目は鉄道ファン。形は若干変わったが、それぞれの趣味つながりで常連さんが来ると言う形態は、先代と一緒だと、内田さんは語る。
焼鳥一人前は3本だが、1本単位でも販売。
現在は、お店のメニューも、くるみ味噌だれの焼鳥1種類のみとなってしまったが、以前は、焼きそばやすいとんなど、他のメニューを出していた事もあり、また焼鳥も、くるみ味噌だれだけでなく、塩も提供していたらしいが、駅構内での営業と言う事で、お客さんも「○○分の特急に乗りたいから、それまでに作って」と言われるようなことも多く、迅速に提供する為、1種類のみのメニューになってしまったと言う。
先代から数えて46年と言う、長い歴史のある焼鳥屋さん「省松」。常連さんの中には、親子二代で通っている方だったり、中学生・高校生の頃から、おやつ代わりに、ここの焼鳥を買って食べ、今ではお酒も飲む成人になったと言う人まで、幅広い世代に愛されている。その為、今回の閉店の告知には、多くの常連さんが驚きを隠せなかった様子。私が取材している間にも、店を訪ねてきて、残念だと仰る方もいた。今のところ、来年1月3日の閉店後は、駅前の自宅兼店舗(実際に、ここでも営業していた事が有る)に店を移し、仮店舗として営業を続けるそうだが、西武秩父駅の温泉施設完成後の事は、まだ未定とのこと。出来れば、また、この場所に戻ってきたいと内田さんは語っていたが・・・
お話を聞いているうちに、閉店時間の18時が近付いてきた。奥様が後片付けの手伝いに駆け付け、片付けを始めていると、内田さんから面白いお話が・・・
見覚えのあるスイッチ。これを引っ張ると・・・
厨房内に鉄道ファンなら見覚えのあるスイッチが。実は、これ、奥様が、部品即売会で購入して来たものらしいが、これを引っ張ると、お店の照明(ちょうちんなど)が消える仕組みになっている。奥様が買って来たものを見て、速攻で配線をつなぎ、使えるようにしたと言う。奥様もご主人の趣味に理解が有り、何ともうらやましいお話である。
西武秩父駅前では、8月から温泉掘削工事が始まっている。
現店舗閉店まで、残り3カ月少々。長い歴史のあるお店が姿を消してしまう事は残念ではあるが、仮店舗に移った後、駅構内だから出来なかったメニューも、仮店舗なら復活なんて事だってあるかもしれない。常連の一人として、「やきとり省松」の今後の発展も期待しつつ、お店を後にした。
ご主人の内田さん、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。今後も、現店舗閉店までの間に、何度かお邪魔させていただきたいと思っています。また、宜しくお願いします。
やきとり 省松
営業時間 12時~18時
定休日 水曜日
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