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伊豆箱根鉄道 大雄山線5000系の甲種輸送を撮影する その1

9月7日のお話です。

秋津駅で、西武池袋線の撮影を終えた私は、駅近くの「なか卯」で朝食を食べた後、武蔵野線の新秋津駅へ。ここから、一気に小田原へ向かう事にした。

この日、小田原駅から大雄山駅までを結ぶ、伊豆箱根鉄道大雄山線を走る5000系電車が、検査の為、伊豆箱根鉄道の大場工場に入場する事になっていた。大場工場は、三島駅から修善寺駅を結ぶ、伊豆箱根鉄道駿豆線の大場駅近くにあるのだが、大雄山線と駿豆線とは、同じ伊豆箱根鉄道ではあるが、直接、線路は繋がっていない為、大雄山線の車両が入場する場合は、東海道本線の線路を使って、甲種輸送が実施される。今回、この甲種輸送と、私の夏休みがぴったり重なり、撮影に出かける事にした。

大雄山線は、日中、12分間隔で運転されているが、車両の入出場がある場合、一部列車が運休となる。入出場する車両は、運休となった列車のスジを使って、回送されるのだが、伊豆箱根鉄道のホームページによると、上り列車は、大雄山駅10時26分発と10時50分発の小田原行きが運休とのことで、入場する車両は、大雄山駅10時26分発のスジに載せて回送される事が解る。と言う事は、10時までに小田原に着けば、大雄山線の線内で、入場車の回送が撮れる。事前の調べでは、新秋津駅を8時ちょうどに出発し、府中本町で南武線へ。更に登戸から小田急線の急行に乗り換えれば、10時ちょうどに小田原駅に到着する事が解っていた。

当初の予定通り、新秋津駅8時ちょうど発の武蔵野線に乗車し、府中本町駅で南武線に乗り換えるところまでは順調に進んだ。しかし、ここで大事な事を思い出す。この日は、早朝から、小田急線の愛甲石田~伊勢原間での線路陥没に伴い、ダイヤが大幅に乱れている事が、駅の電光掲示板でも流れていた。この時間帯、運転は再開しているものの、ダイヤは乱れており、登戸駅で乗り換えても、10時までに小田原駅に辿り着けない可能性がある。色々と検討した結果、登戸では降りずに、そのまま南武線に武蔵小杉駅まで乗車。そこから東急東横線に乗り換えて菊名駅へ。更に横浜線に乗り換え新横浜駅へ向かい、ここから東海道新幹線に乗り換え、小田原に向かう事にした。新幹線代を投資する事になるが、このルートで行けば、10時01分に小田原駅に到着し、10時12分発の大雄山行きに乗り継げる。

10時01分。定刻通り、小田原駅に到着。早速、大雄山線乗り場へ向かう。改札口を入場し、目の前に待っていたのは、なんと、この車両だった。

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小田原駅で出発を待つ、大雄山行き5000系5501F。

大雄山行きとして、小田原駅に停車していたのは、西武鉄道沿線住民には懐かしい、赤電カラーを纏う5000系のトップナンバー、5501F。5000系は、全部で7編成あるが、この5501Fのみ鋼製車体。残りの6編成はステンレス車体となっているのだが、5501Fは、2016年10月より、大雄山線開業90周年記念企画「オールドカラー復刻バージョン」に塗装変更。西武鉄道グループである、伊豆箱根鉄道では、大雄山線、駿豆線どちらにも、この西武赤電カラーの電車が活躍していた。私自身、赤電カラーになった5501Fに乗るのは、今回が初めて。これは嬉しい出会いだった。

撮影後、早速車内へ。3両編成の先頭車両に乗り込むが、平日の10時台と言う事もあり、車内はガラガラだ。目指すのは、小田原駅から5駅目となる飯田岡駅。この駅から、歩いて5分ほどの撮影地に向かう。新横浜は晴天だったが、ここ小田原は、小雨が降り続いている。平日だし、雨だから、甲種輸送狙いの鉄道ファンは少ないのか・・・と思っていたのだが、穴部駅を発車し、飯田岡駅までの駅間には、有名撮影ポイントがあり、列車がそこに差し掛かると、多くの鉄道ファンが、車窓からも確認する事が出来た。平日でも、甲種輸送が有れば、有名撮影ポイントには、人が集まると言う事か。

10時22分、飯田岡駅に到着。下車後、駅前を流れる狩川の築堤上の砂利道を、小田原方向に向かって歩く。雨は小降りになったものの、砂利道には所々、大きな水たまりが出来ており、歩き難い。悪戦苦闘しながら歩くこと、およそ5分。線路との間にある草が伸びているものの、電車4両分ならどうにか撮れそうな場所を見つけ、ここで待機する事に。

待つこと、およそ10分。10時37分頃になるが、飯田岡駅方向から、懐かしい吊り掛け電車の音が聞こえてきた。ちょうど雨も上がり、撮影もしやすくなったのは有り難い。

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大場工場へ向かう5000系5503F5502Fを牽引するコデ165。

ステンレス車体の5000系を牽引してきたのは、ぶどう色を纏う事業用車両、コデ165。懐かしい吊り掛けモーター音を轟かせて走るこの車両は、1928年、鉄道省モハ30166として産声を上げ、1960年に相模鉄道へ譲渡され2000系として活躍した後、1976年に伊豆箱根鉄道へ譲渡。1997年に工事用車両のコデ66の老朽化により、代替車両として事業用車両へ改造。御歳90歳と言う大ベテランの車両である。今年3月には、国鉄時代のぶどう色2号に塗装変更され、現在の姿となった。

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コデ165に牽引され、大雄山線を走る5000系5503F5502F。

ちなみに、このコデ165は、今年3月の塗装変更まで、黄色をベースとしたカラーを纏っていた。

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参考:旧塗装時代のコデ165。(2016年9月22日撮影)

旧塗装も、事業用車両らしさがあって良いとは思うが、実際に今の姿を見てしまうと、この車両には、現行のぶどう色2号の方が良く似合う。そう思ったのは、私だけだろうか。

この後、飯田岡駅へ戻るが、先程乗車した赤電が戻って来ると解り、次の列車には乗らず、駅近くの踏切で待機する事に。

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飯田岡駅を発車する5501Fの小田原行き。

念願だった、赤電の走行写真が撮れたと、この時は喜んでいたが、この赤電による小田原行きには、小田原到着後、重大な任務が待っている。それは、コデ165牽引で小田原へ向かった5503F5502Fを、JRの線路上に押し出すための入替作業である。小田原駅には、伊豆箱根鉄道と東海道貨物線との線路を結ぶための連絡線があるが、この連絡線上には架線が無い。その為、東海道貨物線上には、甲種輸送を牽引する電気機関車が、コンテナを載せていない空の貨車3両を連結した状態で待機しており、入場する5503F5502Fは、赤電5501Fと連結し、まずは一旦大雄山方面へ引き出され、その後、5501Fにより押し出して、JRの貨車と連結される。この列車で小田原へ行けば、その作業が、一部始終見られたのだが・・・

ちなみに、大場工場から出場し、大雄山線に戻る場合は、1泊2日の行程となり、一旦、平塚駅近くの相模貨物駅まで向かい、ここで一夜を明かし、小田原へ折り返す。小田原駅構内は、入場時と逆の入替作業を行う事になっている。出場時の回送が1泊2日の行程となり、相模貨物駅まで行かなくてはいけない理由は、伊豆箱根鉄道との連絡線が、東海道貨物線の下り線にしか無い為である。

この入替作業の為に、大雄山線は列車1本が運休。赤電を逃すと、小田原行きは24分間、列車が無い。仕方なく、のんびりとホームのベンチに腰掛けて休憩した。

飯田岡駅で待つ事およそ20分。後続の小田原行きに乗り込み、小田原方面へ向かうことに。この列車で小田原まで行っても、既に入替作業は終了している。あとは、入場車の牽引を担当したコデ165の回送があるくらいだ。出来れば、駅間で撮りたいところではあるが、甲種輸送のJR線内追跡の都合もあり、小田原駅から一駅目となる緑町駅で撮影する事にした。この駅は、小田原駅から僅か400メートルほどしか離れていない。歩いても10分かからない距離なので、ここなら時間を気にしなくて良い。

小田原駅での入替作業遅れの影響により、私が乗車した小田原行きは、約6分ほど遅れて緑町駅に到着。ホームの先端には、同じような事を考えている人が数名待機していた為、私は、ホームの中ほどから、望遠レンズを使って撮る事に。ホームで待つこと、およそ10分。お目当てのコデ165がやって来た。

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役目を終えて、大雄山へ戻るコデ165。

小田原駅を発車し、緑町駅までのS字カーブをゆっくり通過するコデ165。回送列車と言う事で、緑町駅には停車しないが、駅周辺の踏切対策なのか、一旦、停まりそうな速度まで減速。そして、大雄山を目指し、再び加速していった。

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緑町駅近くの急カーブを曲がっていくコデ165。

この後、小田原へ向かって、東海道線に乗り込み、甲種輸送を追跡するのだが、この緑町駅から小田原駅までは、歩いても10分かからない。その為、ここでは、後続の列車を待たずに、駅を出場して、小田原駅まで歩いてみた。小田原駅まで、あと少しと言うところで、値段は高かそうだが、美味しそうな海鮮丼の店を発見。この日は時間の都合もあり、立ち寄らなかったが、小田原へ行く機会があれば、一度立ち寄ってみたい。

小田原駅では、駅構内の箱根そばで、簡単に昼食を済ませた。そして、小田原駅12時09分発の熱海行きに乗り込み、いざ熱海へ。途中、真鶴駅で、大雄山線の甲種輸送を追い越すので、熱海駅で撮影が可能となる。列車は、定刻通り、小田原駅を発車し、真鶴駅では予定通り、甲種輸送を追い越した。

12時32分、熱海駅着。真鶴で追い越してきた甲種輸送は、およそ10分後、熱海駅を通過する。私は急いで1番線へ。すると、1番線の東京方先端には、大雄山線甲種輸送狙いと思われる鉄道ファンが多数集まっていた。私は、先端より30メートルほど下がった場所から、カメラを構える事に。

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熱海駅に進入する大雄山線5000系甲種輸送列車。

EF65 2060号機に牽引され、熱海駅に進入する、大雄山線の5000系。機関車と5000系の間に、コンテナを載せていない3両の貨車が連結されている。小田原駅での入替のためとは言え、普段見慣れた甲種輸送とは、一味違った組み合わせである。

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伊豆急8000系と一瞬の出会い。

そして振り向くと、1番線には、伊豆急8000系が停車中。東急グループの伊豆急行の車両と、西武グループの伊豆箱根鉄道の車両が、この熱海駅で一瞬の出会い。これもまた、甲種輸送らしい光景と言える。

撮影後、更に甲種輸送を追跡するため、私も三島方面へ向かうことに。

その2へと続きます。

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コメント

はじめまして、でしたよね。
沿線での貴重な記録、ありがとうございました。
早朝の小田急線の一部運転見合わせは予想外でしたね。私も南武線でその情報を目にしました。
回送の前に小田原⇔大雄山を1往復しましたが、生憎の雨の中、沿線のギャラリーの多さには驚きました。
同じ伊豆箱根鉄道でも、毎日JRとの直通がある駿豆線と違い、大雄山線では複雑な入換が行われたりと、甲種が行われる日は大イベントのようです。
今回はもちろん、茶色になったコデ165が目的でしたが、赤電5501Fによる入換もあり、予想外の大収穫でした。
赤電が客扱いを終え、入換の準備、そして役割を終えた後にはすぐに客扱いを行う素早さにも驚いたものでした。
連結器もどうなるかと思ったら、一瞬でアダプターが着脱されるのにも!
ちなみに今回の入場車は5502F(クモハ5003-モハ5004-クハ5502)です。
三島駅での授受、その2も楽しみにしています。

投稿: モハ1005-モハ1006-クハ2003 | 2018/09/13 17:53

モハ1005-モハ1006-クハ2003さん、はじめましてですかね。コメントありがとうございます。

小田急線の一部運転見合わせは、本当に予想外でした。私の場合は、地元で一つネタを消化してからの移動となりましたので、大雄山線の線内を1往復と言う訳にはいかなったのですが、他の撮影地でも、人が多かったようですね。コデ165の塗装変更もそうですが、モハ1005-モハ1006-クハ2003さんのブログを読ませていただき、青春18きっぷのシーズン中だった事を思い出しました。18きっぷが使える事も、人が多くなった要因の一つだったかもしれませんね。

編成番号について、ご指摘ありがとうございました。コメントをいただくまで、全く気付かず、お恥ずかしい話です。該当部分につきましては、取り消し線で編集した上で、訂正させていただきました。

引き続き、続編を書いてまいりますので、今後とも、どうぞ宜しくお願いいたします。

投稿: TOMO | 2018/09/13 19:50

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