東急池上線で7700系と出会う
10月4日のお話です。
朝から大田区内の取引先へ直行。往きは、所沢から東京メトロ副都心線・東急東横線・みなとみらい線直通列車で一気に田園調布へ向かい、そこからバスで目的地へ。昼前には仕事を終えて、西荻へ戻る事になり、バスで東急池上線の雪が谷大塚駅へ向かった。
五反田と蒲田を結ぶ東急池上線は、全列車3両編成で運転と、まさに、都会の中のローカル線と言った雰囲気で、車両は、多摩川~蒲田間を走る東急多摩川線と共通運用となっている。この池上線と多摩川線には、まもなく東急線での現役生活を終える7700系が走っている。
7700系は、アメリカのバッド社と、東急車輛製造との技術提携により、1962年に登場した、日本鉄道業界初のオールステンレス車である7000系(初代)を、1987年から1991年にかけて改造した車両。7700系への改造時に、VVVF制御化、冷房改造を行っているとは言え、既に50年以上、東急線の線路上を走り続けている働き者である。そんな働き者の7700系も、新型の7000系車両(2代目)に置き換えられ、残り3編成。今年中には、姿を消すとのことで、帰り際に一目見られたらと、検車区(車両基地)のある雪が谷大塚へ立ち寄ってみた。
早速、検車区の様子を見てみるが、7700系の姿はない。そこで、スマートフォンを使い、東急池上線・多摩川線の車両運用を取り上げているサイトを確認すると、残る3編成は全て運用に就いており、7901Fは多摩川線を走っているものの、7905Fと7906Fが池上線を走行。しかも、7905Fと7906Fは続行で運転しており、まもなく、この雪が谷大塚を通過する事が解った。これは効率よく撮影できるチャンス。検車区が見渡せる線路沿いの道で待つこと、およそ5分。7700系による蒲田行きがやって来た。
雪が谷検車区の横を通過する、7700系7905F。
デハ7705を先頭に、3両編成で蒲田を目指す7700系7905F。12月までには引退との事で、この車両が、池上線の線路を走るのも、あと2カ月程度と言う事だろうか。
7905Fの後を追うように、6分後には、7906Fの蒲田行きがやって来る。そこで、今度は、もう少し蒲田寄りに移動した踏切から、7906Fを撮影してみた。
7905Fの続行でやって来た7906F。
先程の7905Fはカーブ区間での撮影であったが、カーブ区間を過ぎて、直線区間に入ったところにある、この踏切では、3両編成がピッタリ納まった。
振り向いて後追いも撮影。
初代7000系としてデビューしてから、既に50年以上が経過している7700系。このまま引退して・・・と考えるのが普通だが、最後まで残った車両には、なんと第二の職場が用意されていた。それは、三重県の桑名から岐阜県の大垣を経由し、揖斐までを結ぶ養老鉄道である。
養老鉄道は、元々、近鉄養老線として運行されていた路線だが、2007年より、近鉄から養老線の運営を引き継いでいる。近鉄グループホールディングス傘下の鉄道事業会社で、車両も、近鉄養老線で運行されていた車両をそのまま使用している。
近鉄名古屋線で活躍していた1600系を改造した、養老鉄道600系。(2015年2月22日撮影)
現在、養老鉄道で運行している車両は、いずれも製造から約50年が経過しており老朽化が問題となっていた。そこで、今回、後継車両として選ばれたのが、東急7700系である。しかし、東急7700系も、製造から50年以上が経過しており、養老鉄道では、既存の車両と同年代に登場した車両で、現行車両を置き換える事になるが、東急7700系は、足回りをVVVF制御方式に改造している事から、養老鉄道では、今後30年程度は使う事を想定していると言う。老いてもまだまだ現役。その姿は、まさに、高齢化社会を迎えた日本人の生きざまを彷彿させる。
東急線から引退した7700系は、既に一部の車両が、養老鉄道へ向けて旅立っており、現地での営業運転に向けて、近鉄の車両工場で改造工事が始まっていると言う。養老鉄道では、東急から7700系を15両購入し、既存の車両の約半数を置き換える計画で、2019年2月からの営業運転開始を予定していると言う。
7700系の新天地での活躍に期待します。
さて、7700系が居ないかと、構内を眺めた雪が谷検車区ですが、この日、特徴のある編成が2編成、構内に留置されていました。その2編成の写真を紹介して、この記事を締めたいと思います。
前面の貫通扉の位置が異なる1013F(右)
池上線・多摩川線の主力車両として活躍している1000系だが、右側の1013Fは、正面の貫通扉の位置が、左側の車両と異なる。この車両は、かつて、東横線と東京メトロ日比谷線との直通列車に使用されていたことがあり、地下鉄乗り入れ用の車両は、8両編成を組んでいたが、一部の車両が、池上線などの支線での使用を考慮し、4両編成2本に分割できる仕様となっていた。8両編成での使用の際、中間に封じ込めとなる先頭車は、中央に貫通扉があり、、まさにこの車両が、その時の生き残り。池上線・多摩川線への転用後は、常に先頭に立つため、他の編成と並ぶと、このように違いが比較できるようになった。
「生活名所 池上線」のヘッドマークがついた1501F。
構内には、もう一つ、注目編成が・・・「生活名所 池上線」のヘッドマークがついた1501Fが、パンタグラフを降ろしてお昼寝中。昨年から展開されている池上線沿線を活性化させるプロジェクトをPRするために、1501Fにヘッドマークを掲出して運転しているという。この車両も、池上線を走行しているときに、一度は撮影してみたい。そう思いながら、この場所より撤収した。
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