秩父鉄道 デキ108引退
今年3月14日のダイヤ改正を機に、石炭輸送列車が廃止され、貨物運用が減少した秩父鉄道。自社線内の鉱石輸送は継続されるものの、機関車の運用は減少してしまった。その為、秩父鉄道が所有する電気機関車の中では最古となる、1951年製のデキ108が引退することとなってしまった。
デキ108は、元々、岩手県の松尾鉱業鉄道に導入された機関車で、松尾鉱業鉄道時代は、ED502を名乗っていた。1972年、同鉄道線の廃止に伴い、同時期に製造されたED501と共に秩父鉄道へ譲渡。秩父鉄道では、デキ100形に編入され、デキ107・108となった。しかし、経年による老朽化や貨物列車の減少に伴い、デキ107は一足早く2015年2月に運用を離脱。以後、デキ108が松尾鉱業鉄道出身の機関車として、孤軍奮闘していた。
熊谷貨物ターミナルの撮影会で展示されたデキ108。(2020年10月3日撮影)
今年10月3日から4日にかけて、定員制のバスツアーによる機関車撮影会では、デキ108がヲキ・ヲキフヲ連ねた状態で展示されていた。その際、松尾鉱業鉄道時代の車号であるED502のナンバープレートを模したものを、正面に掲出していた。今では、秩父鉄道の電気機関車の標準色となっているこの塗分けは、元々、松尾鉱業鉄道で採用されたカラーであり、秩父鉄道入線後、一度は、当時の秩父鉄道の標準カラーである、茶色に裾部白帯と言うカラーに塗り替えられたものの、後に竣工した新型機のデキ500形に、松尾鉱業カラーが採用されており、以後、デキ107・108の2両も、再び松尾鉱業鉄道時代のカラーを纏うことになった。撮影会の時点では、年内での引退発表前だったため、撮影会でのナンバープレート掲出は、ツアー参加者へのサービスだと思っていたのだが、これも引退に向けた惜別企画の一つだったのかもしれない。
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